2014-12-31

スペイン今年の漢字

今月12日に発表された今年の漢字、≪税≫。

21%も消費税に取られるスペインから見れば、≪税≫の一文字に託された日本の2014年がパラダイスに見えてくる。

そこで今年最後のブログに至って、この≪今年の漢字/スペイン編≫を私なりに考えてみた。


慢性化してしまった失業問題、立ち退き問題、教育、医療予算カット問題などのニュースは比較的少なかったような一年だった。

ただ、こういった国民へのしわ寄せの原因を作った、政治家、企業家、有名人、またはその家族等の汚職事件の発覚が毎日の様に取り沙汰された。

長年横行してきた政治家と企業の癒着が、ある意味で公となり、それに対して国民が何らかの反応を見せ始めた年でもあった。

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そのひとつは、例えば今年立党したばかりの≪ポデモス党≫の急成長。これまでスペインの政権を握って来た2大政党が今まさにその≪美味しさ≫を逃そうとしている。

また、2大政党の一つ≪PSOE党≫のリーダーは、42歳の若手ペドロ・サンチェス氏にバトンタッチされた。総選挙に向けて左派の≪イスキエルダ・ウニーダ党≫も新しい代表者の党内選挙を予定している。こちらも有力候補者は若手29歳のアルベルト・ガルソン氏だ。

来年2015年末の総選挙に向け、各党ともこれまでにない戦略を繰り広げることになるだろう。

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2014年は新しい国王が誕生した。来年47歳になるフェリッペ6世国王はレティシア王妃と共に、王室に新たな旋風を巻き起こそうとしている。フェリッペ6世国王の姉クリスティーナとその夫イニャキ・ウルダンガリンが絡んだ汚職事件をはじめ、前スペイン国王の公私にわたるスキャンダルでガタ落ちだった国民の支持も、どうにか回復の兆しを見せている。

今年はこれまでの記録を塗り替える程の観光客がスペインにやって来た。観光業界にとっては大変良い年だった。果たしてこのスペイン人気、来年も続くだろうか。

さて、2014年のスペインスポーツ界はどうだっただろうか。

サッカーW杯の敗北。バスケットボールもW杯準々決勝でフランスに負けてしまった。今年こそはとの期待に全く応えられなかったF1フェルナンド・アロンソ。

しかしながら、スポーツ界女子は素晴らしかった。水泳のミレイア・ベルモンテ。今年だけでも10のメダルを獲得している。12月上旬にカタール・ドーハで開かれた≪世界短水路選手権≫では、4つの金メダル獲得と2つの世界記録を出している。

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カロリーナ・マリン。コペンハーゲンで開かれた≪世界バトミントン選手権大会≫女子シングルスでは、何とあのバトミントン大国中国の、リー・シュールイ選手を破って、スペイン人としては初めての世界チャンピオンとなった。

2014年はスペインを代表する人達を失った。政界では何と言っても、アドルフォ・スアレス氏だろう。フランコ死後、民主化が進むスペインでスアレス氏の首相としての業績は歴史に残るものとなった。サッカ―に於いて、スペインナショナルチームがブレイクしたのは、ルイス・アラゴネス氏、この人のお蔭と言っても過言ではないだろう。

ルイス・アラゴネス氏がスペインサッカーの父である様に、世界中が認めるスパニッシュ・ギターの父、パコ・デ・ルシア氏もまたこの世を去った。2014年2月はこの偉大な2人、続いて3月はスアレス氏と不幸が続いた。

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さて話は一転して、私がこの≪兆≫をスペインの2014年の漢字に選んだ理由は、兎にも角にも2015年に向かって何かが動いている、変化していると感じるからだ。そして、≪兆し≫となって2015年に期待する気持ちがあるからだ。悪は裁かれる時がやって来る。2015年は今年発覚した汚職事件解決に期待が寄せられる年になるだろう。

政府に見える、そうであって欲しいスペインと、私に見える現実のスペイン。その差は、日本の8%の消費税とスペインの21%の消費税ほどの差がある。年末によく聞いた政府の「2015年は今までの努力が実り、スペインに景気回復がやって来る」という言葉を純粋に信じたい。




今年もブログを読んで頂きありがとうございました。
来年も皆さんに楽しくスペインの時事をお伝えできる様に頑張ります。

幸せな2015年をお迎えください。


2014-12-26

お帰り~。この日を待ってました。

アトレティコ・デ・マドリッドファンにとって、否スペインサッカーファンにとって、この上ないクリスマスプレゼントが送られることになった。

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そう、あのフェルナンド・トーレスがアトレティコに戻ってくるのだ!

今シーズンからACミランで活躍中の彼は、こちらも今シーズン、アトレティコに移籍してきたばかりの、未だに試合には出場していないアレッシオ・チェルチ選手のミランへの移籍の決定を待ったいる状態だ。

そして私達も待っている。

彼は少年時代からアトレティコに所属。アトレティコで育った彼は、2001年にデビュー。2002年からプリメラ・ディヴィシオンに昇格したアトレティコで活躍し始める。

そんなチームでの活躍と同時に、スペイン代表チームの一員としての活躍も大いに彼の知名度を上げたのだった。

フェルナンド・トーレスがリヴァプールに移籍したのは2007年のことだ。

しかし、スペイン人にとってフェルナンド・トーレスは、結果的には海外チームに7年間在籍していたにも拘らず、やはりアトレティコ・デ・マドリッドのスターとしていつも私たちの記憶に残っている。

フェルナンド・トーレスと言えば、アトレティコ・デ・マドリッド。

30歳にして古巣に戻ってくる彼を、アトレティコファンでない私も大歓迎だ。

これは私が大好きな、彼がリヴァプールに移籍以後に出演した≪PEPSI≫のCM。



2014-12-22

ホッと出来ないクリスマス。クリスティーナの場合

略4年の歳月を費やして調査されてきた≪Caso Noos≫事件。横領、詐欺、背任、偽造、マネーロンダリング等の犯罪を扱った事件。前スペイン国王娘婿=イニャキ・ウルダンガリンが主犯格の一人ともあって、前代未聞の大スキャンダルを生んだ。

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そして、それらの一連の事件から、イニャキ・ウルダンガリンの妻、つまり前スペイン国王の娘、現スペイン国王フェリッペ6世の姉=クリスティーナ・デ・ボルボンにまで調査の手が入ったのは今年になって間もない頃だった。

そしてようやく、今日この事件の担当判事は、クリスティーナ・デ・ボルボンを被告人として裁判に出廷するよう判決を下した。夫の不正行為協力者としての容疑者として。

判事が容疑者全員に言い渡した保釈金は合計6千135ユーロにもなる。その中ウルダンガリンは1千470万ユーロ、クリスティーナは270万ユーロ。僅か20日の中に支払わなければならない。

今日の判事の決定に、弁護士側がどう動くか?彼女の裁判行は回避されるのか?

クリスマスも近いのにお忙しい事で……

2014-12-19

狙われたポプラル党本部

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今朝7時頃、マドリッド・ポプラル党本部に、プロパンガス2つと簡単な爆発装置を積んだ乗用車が突っ込んだ!

車は玄関口を壊し内部まで突っ込んだが、幸い爆発はせず、犯人を含め怪我人など出ていない模様。

犯行に及んだのは、アラゴン州テルエルに住む37歳の男性。警察に捕まえられた彼は、「全てを失った」と語った。

犯人は今年5月から失業中。10年程前から鬱病エピソードを患っている。

注目したいのは、この事件のニュースコメント欄には、ポプラル党への批判的コメントと犯人への同情的コメントが多いことだ。

この事件は≪やり過ぎ≫的部分を除けば、現在スペイン人の多くが抱えている問題の爆発に過ぎない。いつかこう言った事件が起こり得ることは、時間の問題だったのも知れない。

2014-12-18

サッカー辞めても、何かで食べていけますな♪

20日土曜日、モロッコ・マラケシュで≪FIFA クラブワールドカップ≫決勝戦を迎えるレアル・マドリッド。対戦相手はアルゼンチンのCAサン・ロレンソだ。

今のところ負け知らずのレアル・マドリッド。ヴィクトリアの記録を更新中だ。

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今シーズンは、ゴールキーパーにコスタリカのスター選手ケイラ―・ナバス選手を迎え入れたが、アンチェロッティ監督の信頼は再びイーケル・カシージャスをスタメンに戻らせた。

スペインサッカー代表チームに於いては、同世代の同僚が続々と代表チームから退く中、イーケルはここでもまたデル・ボスケ監督の信頼に大いに応えるべく、その座を若手選手に譲っていない。

イーケルのどこがそんなに凄いのか!

凄いと言えば、彼の意外な一面が今話題になっている。

なんと!彼は彼の出場した試合ならば、彼曰く98%は覚えているというのだ!

このビデオはそのデモンストレーション。

チームの一人が携帯を手にイーケルに○○年○月○日、対○○、対戦地などを言うと、見事にイーケルは○対○と答えることが出来る。否、それだけではなく、誰がゴールを決めただのの詳細まで返ってくる有様。



と言うわけで、興味津々。一体どれ程の試合に出場したのか≪Wikipedia≫で調べたところ、レアルのキーパーとしての出場回数は681回。スペイン代表としては156回。合計837回出場したことになる。

こんな才能があったとは!

サッカー辞めても、何かで食べていけますな♪


2014-12-13

緊縮財政中の贅沢

カスティージャ・ラ・マンチャ州の、人口が14000人に満たないソクエジャモス村に、先日≪博物館 ワインの塔≫がオープンした。

ワインを通じてこの地域の観光向上に役立てようとの狙いがある様だ。

約3百万ユーロが費やされたと伝えられるこの博物館。博物館によって生み出された雇用人数はたったの一人。

ワインファンにはたまらない観光地になるのかどうか、いささか眉唾物に見えるのはワインファンでない私だけだろうか?

また、カスティージャ・ラ・マンチャ州にそんな博物館を建てるという贅沢が何故出来たのか?

話は今年に入って間もない頃、つまり1年程前、カスティージャ・ラ・マンチャ州政府は節約対策の一環として21の市町村の夜間緊急医療施設を閉鎖したのだ。これによって凡そ10万人もの人々が夜間の緊急時には遠いところでは約50キロメートルの移動を余儀なくされることとなった。

更に付け加えて言うならば、夜間緊急医療機関とは言うものの、21のうち10施設については、平日は15時まで、そして週末は完全に閉鎖。残りの11施設に関しては平日は緊急の場合20時まで、週末は閉鎖されないと言う設定だ。

過疎化の進む村や小さな市ではお年寄りも多く、この対策は当時非常な物議を醸した。政府は利用者が殆どいない状況に対し、夜間医療機関を維持するコスト削減を実行したのであった。

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州政府にとってこう言ったコスト削減政策は、先日オープンした博物館とは全く違った次元で検討されていたとしか考えられない。

緊縮財政中の、カスティージャ・ラ・マンチャ州首相、マリア・ドローレス・コスペダル氏のちょっとした贅沢だったのか?



2014-12-12

大爆笑!≪スペインは南のドイツ≫

政府によると、どうもこの国のクライシスはもう過去のことになってしまった様だ。

数値的に言うならば、特に今年2013年はマクロ経済の進展が見られ、ヨーロッパの他の国々より経済的には成長したのは確かだが、その結果は未だスペイン人の生活には反映していないのが現実の様に思われる。

それでも政府は、マリアノ・ラホイ首相の言葉を借りるならば、「クライシスはもう過去の出来事」だと考えている。

また、欧州議会におけるポプラル党スポークスマンのポンズ氏などは、「ヨーロッパの他諸国に於いては、スペインは今や南のドイツだ」などと真面目な顔で言っていた。我が家では大爆笑!だった。

5人に2人のスペイン人が貧困やその危機にさらされている現状。またクライシスが始まってから著しく増えた貧富の差。これはもうアメリカと肩を並べる程だ。

この様な政府の素晴らしい現状と未だにその素晴らしさの恩恵を受けていない国民の現状が、まさに今のスペインの現状なのだろう。

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さて、政府の現状ではなく、国民の現状が現状なだけに、またクリスマスと子供たちの冬休みをふまえ、今年の夏休み同様食事のとれない子供達の為に学校給食を無料提供する動きが各地で検討されている中、マドリッドではこれに賛同しない県長イグナシオ・ゴンサレス氏がこんな発言をしで波紋を呼んでいる。

「マドリッドでは子供の栄養失調は問題ではない。栄養失調と言うのは嘘だ!マドリッド県の子供達が抱えている栄養不良のメインリスクは肥満である」

ここにもまた政府にしか見えない現状と、国民にしか体験できない現状が浮き彫りになった。