2013-05-04

03/07/06 43/47/0 

今から7年前、バレンシア市でスペイン史上最大の地下鉄事故が発生した。

2006年7月3日。ちょうど前ローマ法王がバレンシアに訪問する僅か5日前の出来事だった。

バレンシア地下鉄Linea1の、あるカーブ地点で脱線事故が発生。結果として、43名の命が失われ、47名の怪我人がでた。この死者43名の中に、この事故の唯一の責任者になっただろう運転手も含まれている。

さて、この恐るべき事故は、発生後極めて超スピードで解決し、我々の記憶から異常な速さで消えて行った。

しかしこの過去の許しがたい事故は、再び我々の前に≪Justicia≫という言葉と一緒に姿を現せた。

その火付け役となったのは、先週末に放送された≪Salvados≫という番組だ。

番組では、今まで知られなかった様々な事実が発覚した。

事故に関して言えば、例えば、事故のあったカーブは以前から危険ポイントとして多くの運転手から報告があったにも拘らず、バレンシア公営鉄道側は何の処置もとらなかった。当時の発表では、車両は凡そ時速80KMで、最高速度40KMしか認められていないカーブを通過。しかしこのタイプの車両の最高速度は80KMで、カーブに差し掛かる時点でこの様なスピードを出すとは考えにくい。しかし関係者側は、運転手の偶然的な意識不明等により、対処できなかったものと結論を出している。

また、遺族に対しての対応も、極めて迅速だった様だ。対応の中には、遺族への≪コネを使っての仕事のオファー≫まであった様だ。勿論、この事件が、ローマ法王訪問をはじめ、国際ヨットレースやF1の招致プロジェクトを抱えた、世界に向けて大いなる発展を願う当時のバレンシアにとって、イメージダウンになるのは確実だった。大きなスキャンダルにならないうちに手を打つことが、バレンシア政府の最優先の目的だったのは簡単に察しが付く。

バレンシア議会委員会での事故証言に至っては、バレンシア公営鉄道は前もって証言を行う社員に、質問されるであろう事柄や、それに対する回答等のマニュアルを配り、練習していたことも明らかになった。

あの日のお昼のニュ―スも、バレンシアローカル放送≪Canal 9≫では、このバレンシア政府の意図に加担した様に、メインニュ―スはプログラムが変更されることなく、≪ロ―マ法王訪問≫だった。この予期しなかった事故のニュ―スは、当然のことながらスペインの他のニュ―ス番組ではメインニュ―スとして扱われた。

結局、この事故の裁判は、≪唯一何らかの責任を問われたであろう運転手の死亡により、刑事責任が消滅≫した形になった。つまり責任者0

毎月、3日、19:00、バレンシア・Plaza de la Virgen にこの事故の遺族が集まり5分間の黙祷を行っている。だが、今までそれを知る人は非常に少なかった。

昨日はその広場に何千人もの人が集り、新たに刑事責任追及を要求した。

(こちらから惨事の様子がご覧になれます。犠牲者のご冥福をお祈りします。)


にほんブログ村 海外生活ブログ スペイン情報へ
にほんブログ村

にほんブログ村 ニュースブログ 海外ニュースへ
にほんブログ村


スペイン(海外生活・情報) ブログランキングへ

0 件のコメント:

コメントを投稿