2014-03-30

さまよえるヨーロッパ人

前回バレンシアで行われたあるNGOの食料配給に関してのブログを書いた。

そこには、国内経済悪化を踏まえた一国家が国民に与える不安を反映する様に、移民者への風当たりが強まるという、極めてナショナリズム的な思考傾向の表れが見られる。

その一方でまた、海外に住むスペイン人への風当たりも強くなってきているのだ。

今しがた読んだある記事には、ベルギーでは昨年約5000人ほどのヨーロッパ人が強制送還されている。その中291名がスペイン人だった。

そしてドイツも来週、貧困者の移民廃止を発表予定だ。

ヨーロッパ各国が自国を守るために、移民への規制を厳しくする。そしてそれはヨーロッパ人に対しても同じだ。

自国にも、ヨーロッパの他の国にも住めないヨーロッパ人は一体何処へ行けばいいのだろうか?

さまよえるヨーロッパ人。

そしてそのヨーロッパ人の故郷でも、ヨーロッパ人以外の移民者に対して同じ様なことが繰り返されるのだった。


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スペイン人であることの特典

経済復興に足踏み状態が続くスペインでは、多くの失業者やその家族がフードバンクに足を運ぶ。

それに加え、様々なNGOが今日もまた多くの人達の糧を配給している。

自宅近くにも一つ、日頃は人など殆ど見ないある宗教団体の入り口に、土曜の朝には長蛇の列が出来る。ショッピングカートを持った人達が食料配給を待っているのだ。

その列は比較的南米系の人が多いのが目に付く。

しかしながら、その中にはスペイン人らしき人や他の国の人も交っている。そしてジブシーも交っている

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昨日バレンシアで、あるNGOが食料配給の為に用意された袋を、スペイン人だけに配給するといった事態が発生した。配給を受けるには身分証明が必要とされた。

それだけではない。

配給を行ったのは、約30%が移民者である地区で行われたのだ。

住民の意見は賛否両論だった。

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話しは変わるが、スイスでは移民者の入国制限の賛否を国民投票で決定した。僅かの差ではあったが、入国制限が承認された。

その対象になる移民者にはスペイン人も勿論入っている。

スイスがスペイン人も含む移民者に採った決断を、スペイン人はどうの様に受け止めたのだろうか?


2014-03-28

2014≪牛追い祭り≫新たな規制

パンプローナの有名な≪牛追い祭り≫に新しい条例ができるようだ。

何しろ去年のお祭りで大惨事が起こらなかったのが不思議なほど、危険な事態が発生したことは以前このブログでも紹介した。

このことを受けてパンプローナ市は、マナーの悪い参加者や過剰な参加者数によるこのような危険な事態を避けるため、様々な規制を設け、違反行為に対してはそのレベルを3段階に分け、最高で3000ユーロの罰金を科すなどの処置を含めた草案をこの月曜日、牛追い祭り委員会に提出する予定だ。

確か随分前に、宮川大輔さんが≪世界の果てまでイッテQ≫の番組でこのお祭りに参加され、その上番組カレンダーの写真まで撮られたようだ。そのときの様子をこのビデオでもう一度。




2014-03-23

3時から絶え間ない特別放送

今日お昼テレビをつけると、どのチャンネルも特別放送をしていた。

実は、今日午後3時3分、アドルフォ・スワレス氏が亡くなったからだ。81歳だった。

アドルフォ・スワレス氏は、スペインに於いて初めての民主主義の首相となった人だ。フランコ独裁政権から民主主義へと導く重大な役割を与えられた彼の業績は、今も尚多くのスペイン人の記憶に残っている。そしてまた、語り継がれている。

彼の時代を生きた人々は、彼のリーダー的決断力を評価する声が多い。

正に今の政治家に不足しているものだ。

私自身、民主主義の国に生まれ育ったので、彼の歴史に残る民主主義化への努力がどの様なものだったのかサッパリわからないが、市民戦争を体験し、独裁政権となったスペインを民主主義へと導く彼の姿は、多くのスペイン人の希望でもあり、新たな出発を意味するものではなかったのだろうか。

政府はこの訃報を受けて、3日間の国喪期間を発表。

サッカーの試合開始に於いても、1分間の黙祷が行われた。ソーシャルメディアでも年齢、職業を問わず、多くのメッセージが寄せられている。

政治家やその関係者だけではなく、スペイン国民にとって彼がどれほど意味のある人物であったかが良く分かる。




≪ディグニティの行進≫

2百50万人もの人が、昨日≪Pan, Trabajo y Techo para todos y todas パン、仕事、住居を全ての人に!≫をスローガンにマドリッドに詰めかけた。その中約2000人は、スペイン全土から徒歩でこの日の為にマドリッドを目指してやって来た人達だ。

そして≪ディグニティの行進≫と称したデモ行進が繰り広げられた。

国民の不満が象徴される如く、道は人で埋め尽くされた。

参加者はそれぞれの不満を、怒りをこうした形で訴えるのだった。

2百50万人と言ったが、政府の発表では最初5万人。後に3万6千人と発表を変えている。



そして9時まで許可が出ていたデモ行進は、8時半頃から様相が変る。

一部の参加者らが、平和的に行進中のデモとは別に、バイオレンスな行動をとり始めからだ。

結果的にこのデモは、101人の怪我人と24人の逮捕者を出した。

これまでにない数の警官を導入していたにも拘らず、67人の怪我人は警察。残り34名がデモ参加者だった。

しかしながら、これによって何がどう変わるのか?

無能な政府がこの状況を把握するのは難しいだろう。





2014-03-20

遂に出た!マナーモード車両

この程スペイン国鉄≪RENFE≫は、≪AVE=スペイン版新幹線≫に携帯禁止専用車両を設けると発表した。

携帯禁止に加え、照明もやや暗めに設定され、利用者の休息サービス向上と共に、車内で仕事に集中できる環境作りにのりだすようだ。

ただ私の読んだ限りのニュースには、「携帯の会話禁止」とあり、日本の様なマナーモードの義務付けのニュアンスが含まれているかは分からない。

それにしても、この発表は大変な進化だ!

なんといってもスペイン人の性格上、≪公共の場で迷惑にならない行動をとる≫という感覚が、私たち日本人とまるで違うのだから……。

例えば先日乗った市バスでも、携帯はここでも鳴り、あっちでも鳴り、プライバシーも何も関係なく、知りたくもないのに大声で話すものだから、個人的情報まで耳に入ってくる。

帰ってから話せよ!という話題が多い!

着信メロディーも、普通のものからラテン系音楽まで、それもかばんの一番底に他の物に塗れながらでも聞き取れるぐらいの音量。

そうかと思えば、隣に座った若者は携帯から音楽を聴いている。バスに乗るとそれなりの騒音があるのだが、それでも音楽をその人が聞いているのが分かる。音量設定がまるで尋常でない!

まるで緊急時のコールセンター状態となってしまった市バス。

そういう状況に慣れてしまっているスペイン人。

だからこそ、この度のRENFEの提案は革命に近いものがあると私は思う。

photo credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/sinuhegm/5565606514/">Sinuhe Gorris</a> via <a href="http://photopin.com">photopin</a> <a href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.0/">cc</a>










2014-03-12

私を魅了したステッカー

もうお気付きの方も多いと思うが、私は全くもって漢字音痴である。

漢字を間違えてブログを公開してしまうこと、度々!

漢字音痴に加え、変換キーに頼りすぎて、ローマ字で書いて変換キーを押し、確認もしないでそのまま書き続けて、公開後に気付いたり、誰かに指摘してもらったり……

漢字と言えば、時々スペインで漢字のステッカーを貼った車に出会う。

海外に居るせいか、漢書を見ると少し嬉しくなるのだが……

車についてるステッカーは殆ど、≪○○心≫とか≪○○精神≫だとか、元ヤンでも使いそうにない類の漢字ステッカーが多い。

下手をすると、それが逆さまに貼ってある。

どうせ付けるのなら、その手の漢字ステッカーはもうやめて、四字熟語ステッカーかなんかにしてっ!と言いたくなってくる。

そんな漢字ステッカー事情のスペインで、これはもう≪Oh~、優れもの!≫というステッカーに出会ったことが一度だけある。

それは確か息子がまだサッカーをしていた頃のことだ。もう4年ほど前になるだろうか。

試合で車で1時間ぐらいの所にある村に行くことになった。

photo credit: <a href="http://www.flickr.com/photos/raul-flakillo/2667883580/">
Raúl Fotografía</a> via <a href="http://photopin.com">photopin</a>
<a href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">cc</a>
道が分からないので、チームメイトのお父さんが運転する車に付いて行くことに。

その車は、TOYOTAかMITUBISHI、あるいはNISSANの車だったと思う。兎に角、日本メーカーの車だった。

付いて行くこと数十分。お父さん、飛ばす飛ばす。こっちは一生懸命付いて行くのに専念。

すると3車線の高速国道に同じ車種の、それも同じ色の車が現れた!

そして私の付いて行かなければならない車の横に並んだ。

私の前にはチームメイトのお父さんが運転する車。そして私の左前にはもう一台の同じ車。

ただこの2台の車にはハッキリした違いがあった。

誰が運転しているかも分からないその車には、誘惑されて≪もうそっちに付いて行ってしまってもいい!≫というほど程魅力的な、日本語のステッカーがリヤガラスに貼ってあったのだ。

≪わたしについて来て下さい≫




2014-03-11

2つの国の11M

日本でも、スペインでも、今日3月11日は悲しい意味で≪特別な日≫になってしまった。

3年前の東北を中心とした大震災、10年前にスペイン・マドリッドで起こったテロ事件。

多くの方々が震災という、大きな自然の力の前に命を失われた。

多くの方々がテロという、個人とは無関係の思想の犠牲となった。

時が経ち、私たちの記憶から薄れていく惨事が、毎年この日になると新たに蘇って来る。

話は少し逸れるが、そうした状況下で我々がどれほどのソリダリティを示すのか、どちらの場合も人間の素晴らしさのような物を感じた。こうした人間の良さは、多くの場合、悲しいかなこうした惨事の時に思い知らされる。

ただ、やはり少しお国柄はあるようだ。

東北震災の日本人の見事なソリダリティは、スペインは固より、世界中で話題になった。

スペイン人の友達が口を揃えて、≪あの行儀の良さはスペインでは絶対に起こりえない!≫と、品数の少なくなったすスーパーマーケットの前できちんと列を作って文句一つ言わずに並んでいる日本人の姿を見て言った。

≪スペインだったら、割り込みなど当たり前。大声を出し、文句を言い、列など作れないのがスペイン人だ!≫とちょっと怒り気味にスペイン人の友人が言っていた。

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しかしながら、彼らは彼らのやり方で、これも心が熱くなるほどのソリダリティ精神に満ちているのだ。

予期なく起こった、そして偶然にも同じ日にちに起こったこの2つの災害、惨事。

私達は今後も、3月11日に記憶の中に焼きついたあの光景を思い出すことがあるだろう。











2014-03-10

もう盗むの止めて下さい!

例の空き地に車を駐車している私は、今までに何回か盗難にあった。

以前乗っていた小型車は、6年と言う歳月の間に2回ほど窓は割られ、中を物色され、サイドミラーは盗まれ、挙句の果てには、左側のタイヤが2つとも盗まれるなど、災難続きの可哀想な車だった。タイヤを盗まれた時は、ごっそり歯の抜けた様にお粗末な姿にさえ見えた。

他にいっぱい高級車まで駐車されてる空き地で、どうして私の車が…っと思ったが、友人によると、高級車よりどこにでもある車の方が盗んだ部品の売り捌きがしやすいらしい。(う~ん、何でそんなによく知ってる?)

さて、今の車は幸運にも2年経った時点で、災難に遭う事もなく、私もすっかり盗難と言う事を忘れていた。この土曜日までは!
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土曜の朝、買い物に行こうと車に乗ってチラッとサイドミラーを見ると、鏡が無い!

あ~、またやられた。

土曜日ともあって、メーカーの公式修理工場はお休み。他の修理工場に持って行くと、左側だけでは売ってくれない。一つ100ユ-ロ以上するのに、要らない方の右まで買って倍払うのも嫌で、今日、メーカーの公式修理工場の開く月曜日まで待つことにした。

修理工場の人によると、今回の犯行は委託系らしく、手当たり次第に盗んで売り捌く系とは違うとの判断を下した。

そんなん、どうでもいい!もう盗むの止めて下さい!







2014-03-05

初公開!子供のエピソード

この週末、使っていない部屋の片付けをしていた時の話。

その部屋は、物置部屋にすっかり姿を変えてしまっていたので、≪これはいけない!≫と、要らない物は捨て、要る物は整理することに重い腰を上げた。

出てくる出てくる、もうすっかり忘れていた子供のおもちゃ。

それも日本の両親が孫の為に送ってくれた高価なおもちゃとは違い(そういう類のおもちゃはちゃんと他のところに大切にしまってある)、お菓子のおまけやサッカー選手のカ―ド、カ―ドと言えば≪遊戯王≫≪ポケモン≫カ―ド、ポケモンと言えばどのくらい集めたのかわからない位の数のミニチュアの≪ポケモン≫に≪デジモン≫、それに加えて恐竜のミニチュア、小さなパーツを組み合わせて作るロボットのそのパーツの多さ……

もう埃としか縁の無いそれらのおもちゃに費やした大金に、フラフラする思いで片付けていた。

っとそんな中から、何冊かの年間別手帳が出て来た。(何でこんな所に!?)

そう言えば、息子が赤ちゃんの時、今日は何を食べただの、これが出来ただのと毎日ではないが書いていた。赤ちゃん育てに忙しかったのか、ただただ私の性格がそうなのかは知らないが、日記風に書くなら兎も角、殆ど箇条書き。

そんな箇条書きの中にも、いくつかちゃんとしたエピソ-ドなどが書かれていた。

片付けなどそっちのけで、読み始めた。

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幾つかあったエピソ-ドの中から2つだけ紹介。

1つ目は、≪新発見!胎内の味≫

ある日まだ3歳くらいだった息子が、歯磨き中にこんなビックリするような発言をした。

「ママ、僕がお腹の中にいてた時、こんな味がしたよ!」とメロン味の歯磨き粉で歯磨き中そんな事を言った。

2つ目は、無邪気な子供の話。この話はスペイン語が分かる人限定のお話。(日本語でも分かる様に説明してみます)

これも息子が3歳くらいの時で、主人がなぞなぞを言った時のことである。

そのなぞなぞはと言うのは、

Es una fruta. Blanco por dentro, verde por fuera. Si quieres saberlo, espera. 果物で、中は白、外側は緑。知りたければ、待ってなさい゛

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この答えは、≪Pera=洋ナシ≫。

Si quieres saberlo=知りたければ, ESPERA=待ってなさい、のES-PERA、つまり、Es pera=洋ナシです がこのなぞなぞの重要ポイントなのだ。

普通なら「あ~、もうそんなん知ってる」、とか無邪気な子供は「え~、何~、教えて~」と言う事になるのだが、家の息子もっと無邪気で、ニコニコしているだけだった。

主人が暫くして、「分かった、答え?」と聞いても、ただひたすらニコニコしているのみ。

「どうしたん?」と聞いてみると、「答えが知りたいから、待ってんねん!」と返って来た。

何とまあ無邪気な息子だったのだろうか!

そんなこんなで、来週に片付けは延期となった。



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2014-03-04

歴史に残る≪執念≫のヘディング!

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ついにその日がやって来た。

バルサのディフェンダーといえばこの人、カルレス・プジョル。

19年と言う長い間、バルサで活躍してきた彼は今日、今シーズンいっぱいでバルサを去ることを発表した。

いつかこのブログで書いたと思うが、彼は何かの折に「40歳までバルサで頑張りたいと」言っていた。

しかしながら、膝の故障に伴う2回の手術は、彼がこれからもバルサで現役としてやっていけるレベルには達せないと彼自身が判断したようだ。

現在35歳、来月4月には36歳になる。

「ここに(バルサ)残るために自分自身が自分に要求するレベルを取り戻すことは、今の自分には大変難しい」

プロとして、自分のレベルに妥協をしない厳しさが見える。

今から4年前、≪FIFAワールドカップ≫対ドイツ戦で、ゲーム終了間際に彼は≪執念≫とも言えるヘディングでゴールを決め、その彼の一点のお陰でチームは決勝進出を手にした。

その雄姿をもう一度。



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